ポータブルバランスE8とその先にあるもの

ちょうど一年ほど前、試作機とバランス駆動化されたイヤホンを聴いて誰かが小宇宙を感じると言って付いた名前がコスモアンプ。それ以来試行錯誤は繰り返されて来たようだけど、全く日の目を見ないのでどうなってるんだ?と思ったのがちょうどE8が出始めた頃。
じゃあE8を一台そのまま送って開発に役立てて貰おうとしたのがこの夏頃。
そしてついに試作機が完成したのがこの間のヘッドフォン祭の後で手に入れたE8ポータブルバランス化Ver.

ケーブルは見ての通り純正で、接続部分がポータブル用にバランス化端子に変えたモノです。制作した当人はリケーブルに対してリ端子と呼んでますが、ヘッドホンもイヤホンもバランス駆動出来る構造であれば端子をぶった切って接続し直せばこれでヘッド・イヤホンの準備は完了となるわけです。

あれそうするとアンプは?ということになりますが、先に述べたそのコスモアンプが出来上がってきたからこそなせる業です。


α900+SAL100M28 100mm F2.8 Macro

ということで制作元の許可も出ているのでこういう形で出しておきましょう。α版ということですが第三者の評価が始まったのでこれでβ版に移行されます。時期が来れば告知と共に販売に向けてのオーダー受付が始まるので興味のある人はHPをこまめにチェックしましょう。現在ではまだ電池をどうするかなど完全に決まっていない部分もあるし、ケースのプレート部分はアルミにするなど大幅な改修を加えるようで昨今のガレージメーカー並のクオリティにどう持って行くのかと楽しみです。なにはともあれ、ついにポータブルバランスアンプがこのサイズで手に入るというのは喜ばしいことです。

ただし、色々と考えないといけない部分もあります。
・当たり前だけどリ端子した瞬間その製品保証は切れる。
・リ端子ありきなので構造上バランス化が難しい物は簡単にはできない。
・バランス化を伴うのでもう一つ目的の愛機を用意するか、愛機をリ端子する場合完成まではそれを使えないし、リ端子代もかかる。
・バランスアンプなので極論、アンプを二台駆動させているのと同じだからコストがかかる。
・バランス化させてしまうとこのアンプでしか基本的には使えない(変換コネクタも用意すれば良いけどコスト増や音質ダウンにつながる)

と言った具合です。既にIE8も献体として出し問題無く動いていることが確認されていますが、バランス化したからと良くなるとは言い切れないし以上のようなリスクを負ってでもバランス駆動させたいんだという人は是非チャレンジして欲しいと思います。

ではポータブルバランス化したE8についても言及しておきます。
基本的にE8をポータブルで使う場合のイチオシは今まで通りPMAでしたが、バランス駆動のE8はまた違う顔が見てきて個人的にはかなりお気に入りです。まず、E8でボーカルをもっと聴きたいなという人にはオススメでしょう。バランス化で全体的にハッキリきこえるのが大きな部分でもあるのですがボーカルが前に来るので表現的に好む人には良いんじゃないかと。アンプの持つ透明感もありクッキリハッキリと音が飛んでくる感じが強くなりますね。高域から低域まで充分バランス良く音が出てくるようになるのも評価できる点です。
まあそんなこんなでβテスターの一人になったのはなんだか申し訳無い気もしますが、やっと日の目を見ようとしているアンプの一つなので今後の過程も見届けて行ければなと思ってます。